ペルサンチン錠25mg


作成又は改訂年月

**2014年12月改訂(第9版)
2011年8月改訂

日本標準商品分類番号

872171

日本標準商品分類番号等

再審査結果公表年月(最新)
1988年1月
再評価結果公表年月(最新)
1998年3月
効能又は効果追加承認年月(最新)
1982年12月

承認等

販売名
ペルサンチン錠25mg

販売名コード

2171010F2553

承認・許可番号

承認番号
21800AMX10087000
商標名
Persantin Tablets 25mg

薬価基準収載年月

2006年6月

販売開始年月

1972年3月

貯法・使用期限等

貯法
気密容器
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

規制区分

**処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量
1錠中ジピリダモール 25mg
添加物
乳糖水和物、バレイショデンプン、軽質無水ケイ酸、可溶性デンプン、ステアリン酸マグネシウム、白糖、タルク、アラビアゴム末、マクロゴール6000、サラシミツロウ、カルナウバロウ、ラウリル硫酸ナトリウム、白色セラック、酸化チタン、黄色5号

性状

剤形・色調
橙赤色の糖衣錠
外形
raster
直径
6.3mm
厚さ
3.3mm
重さ
0.095g

一般的名称

ジピリダモール製剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

効能・効果/用法・用量

効能・効果

1.
狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全
2.
ワーファリンとの併用による心臓弁置換術後の血栓・塞栓の抑制
3.
つぎの疾患における尿蛋白減少:ステロイドに抵抗性を示すネフローゼ症候群

用法・用量

1.
狭心症、心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全の場合
ジピリダモールとして、通常成人1回25mgを1日3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
2.
血栓・塞栓の抑制の場合
ジピリダモールとして、通常成人1日300〜400mgを3〜4回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
3.
尿蛋白減少を目的とする場合
ジピリダモールとして、通常成人1日300mgを3回に分割経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
投薬開始後、4週間を目標として投薬し、尿蛋白量の測定を行い、以後の投薬継続の可否を検討する。
尿蛋白量の減少が認められない場合は、投薬を中止するなど適切な処置をとること。
尿蛋白量の減少が認められ投薬継続が必要な場合は、以後定期的に尿蛋白量を測定しながら投薬すること。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)
1.
低血圧の患者
[更に血圧を低下させることがある。]
2.
重篤な冠動脈疾患(不安定狭心症、亜急性心筋梗塞、左室流出路狭窄、心代償不全等)のある患者
[症状を悪化させることがある。]

重要な基本的注意

1.
腎疾患への適応に当たっては、以下の点に留意すること。
(1)
病態の急速な進展がみられる場合には、中止又は他の療法を考慮するなど適切な処置を行うこと。
(2)
尿蛋白が減少した場合でも、腎機能が低下することがあるので、定期的に腎機能を検査するなど注意すること。
2.
本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合、本剤の作用が増強され、副作用が発現するおそれがあるので、併用しないこと。(「過量投与」の項参照)
3.
本剤との併用によりアデノシンの有害事象が増強されることから、本剤を投与されている患者にアデノシン(アデノスキャン)を投与する場合は、12時間以上の間隔をあけること。(「相互作用」の項参照)

相互作用

併用禁忌

(併用しないこと)
薬剤名等
アデノシン(アデノスキャン)
臨床症状・措置方法
完全房室ブロック、心停止等が発現することがある。本剤の投与を受けた患者にアデノシン(アデノスキャン)を投与する場合には少なくとも12時間の間隔をおく。もし完全房室ブロック、心停止等の症状があらわれた場合はアデノシン(アデノスキャン)の投与を中止する。
機序・危険因子
本剤は体内でのアデノシンの血球、血管内皮や各臓器での取り込みを抑制し、血中アデノシン濃度を増大させることによりアデノシンの作用を増強する。

併用注意

(併用に注意すること)
薬剤名等
キサンチン系製剤(テオフィリン、アミノフィリン)
臨床症状・措置方法
本剤の作用が減弱されるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序・危険因子
テオフィリン等のキサンチン系製剤は、本剤のアデノシンを介した作用を阻害する。
薬剤名等
アデノシン三リン酸二ナトリウム
臨床症状・措置方法
本剤はアデノシンの血漿中濃度を上昇させ、心臓血管に対する作用を増強するので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序・危険因子
本剤は体内でのアデノシンの血球、血管内皮や各臓器での取り込みを抑制し、血中アデノシン濃度を増大させることによりアデノシンの作用を増強する。
薬剤名等
降圧剤
臨床症状・措置方法
本剤は降圧剤の作用を増強することがあるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序・危険因子
本剤の血管拡張作用により、降圧剤の作用が増強されることがある。
薬剤名等
*抗凝固剤(ダビガトランエテキシラート、ヘパリン等)
臨床症状・措置方法
出血傾向が増強するおそれがあるので、併用にあたっては患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序・危険因子
これら薬剤は抗凝固作用を有するためと考えられる。

副作用

副作用等発現状況の概要

調査症例5,811例(再評価結果および再審査終了時)中副作用が報告されたのは、331例(5.70%)であった。主な副作用は、頭痛201件(3.46%)、嘔気41件(0.71%)、心悸亢進25件(0.43%)、腹痛14件(0.24%)、脱力・けん怠感15件(0.26%)等であった。
また、臨床検査値においては特に一定の傾向を示す変動は認められていない。

重大な副作用

1.
狭心症状の悪化(0.1%未満)
狭心症状が悪化することがあるので、このような場合には、投与を中止すること。
2.
出血傾向(頻度不明)
眼底出血、消化管出血、脳出血等の出血傾向があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
血小板減少(頻度不明)
血小板減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
過敏症(頻度不明)
気管支痙攣、血管浮腫等の過敏症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

過敏症注)
0.1〜5%未満
発疹
過敏症注)
頻度不明
蕁麻疹
精神神経系
0.1〜5%未満
頭痛、めまい、熱感、のぼせ感、ほてり、倦怠感、脱力感
精神神経系
0.1%未満
しびれ感、肩こり
循環器
0.1〜5%未満
心悸亢進
循環器
0.1%未満
頻脈、血圧低下、潮紅
消化器
0.1〜5%未満
悪心、嘔気、嘔吐、食欲不振、口渇、便秘、腹痛、下痢
消化器
0.1%未満
腹部膨満感
*肝臓
頻度不明
肝機能検査値異常(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇等)
その他
0.1〜5%未満
異和感、胸痛
その他
0.1%未満
発汗、耳鳴、筋肉痛、鼻出血、皮下出血
以上のような副作用があらわれた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
注)発現した場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。

高齢者への投与

一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
[動物実験(マウス)でわずかに胎児への移行が報告されている。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。
[動物実験(ウサギ)で母乳中へ移行することが報告されている。]

過量投与

1.
症状
本剤の過量服用により熱感、顔面潮紅、発汗、不穏、脱力感、めまい、狭心様症状、血圧低下、頻脈があらわれることがある。
2.
処置
一般的な対症療法が望ましいが、過量服用の可能性がある場合は、必要に応じ胃洗浄を行うこと。激しい胸痛が発現した場合は、アミノフィリンの静注等の適切な処置を行うこと。

適用上の注意

薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。
[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]

その他の注意

1.
海外において慢性安定狭心症の患者を対象にβ遮断剤、カルシウム拮抗剤、および長時間型硝酸剤投与中の本剤の追加投与の効果を検討するため、二重盲検法にてジピリダモール徐放カプセル(1回200mg 1日2回)またはプラセボを24週間追加投与したところ、「運動耐容時間」に対する本剤の追加投与の効果は認められなかったとの試験成績がある。
2.
少数例ではあるが、非抱合型ジピリダモールが胆石中に取り込まれていたことを示す症例が報告されている。

薬物動態

吸収・代謝・排泄
健康成人にジピリダモール100mgを経口投与した場合、速やかに吸収され、0.5〜2時間後に最高血漿中濃度約1.2μg/mLに達する。1)
健康成人にジピリダモール300mg/日を3日間経口投与した場合、最高血漿中濃度は約1.7μg/mLであり、蓄積性は認められない。2)
健康成人にジピリダモール200mgを経口投与した場合、主代謝産物は、ジピリダモールのモノグルクロン酸抱合体であり、24時間尿中には未変化体は認められず、1%以下のモノグルクロン酸抱合体が認められる。3)
[参考:3)は外国人でのデータ]

臨床成績

1.
狭心症、心筋梗塞、その他の虚血性心疾患、うっ血性心不全の場合
国内で実施された臨床試験の結果、承認された効能・効果に対する本剤の臨床効果が認められた。
2.
血栓・塞栓の抑制の場合
心臓弁置換術を受けた患者を対象とした比較臨床試験、一般臨床試験及び再審査調査症例等において、血栓・塞栓の抑制における本剤とワーファリンとの併用投与の有用性が認められた。
薬剤名:ワーファリン+ジピリダモール
効果判定例数:647例
血栓・塞栓発生率:3.9%(25/647)
3.
尿蛋白減少を目的とする場合
二重盲検比較試験4)、一般臨床試験及び再審査調査症例等において、ネフローゼ症候群における尿蛋白減少において本剤の有用性が認められた。
なお、ステロイド抵抗性以外のネフローゼ症候群に対する有用性は確立していない。
有効率解析例数:1,861例
有効率(有効例数/有効率解析例数):67.9%(1,264/1,861)

薬効薬理

1.
抗血小板作用
血小板凝集能・粘着能及び放出反応等の血小板機能を抑制する(ウサギ5,6))。
2.
血栓・塞栓抑制作用
右心房への鋼材移植(イヌ7))、プロナーゼ灌流(イヌ8))、大脳皮質動脈の損傷(ウサギ9))、腸間膜動脈への電気刺激(ラット10))による血栓・塞栓形成を抑制する。
3.
尿蛋白減少作用
アミノヌクレオシド腎症(ラット11,12,13))、プロタミン腎症(ラット11))、抗GBM型腎炎(ラット14))において、尿蛋白を減少させる。
4.
心筋保護作用
ヒポキシアによる心筋内ATP濃度の低下及び心筋ミトコンドリアの形態学的変化を抑制する(イヌ15,16))。
5.
虚血心筋への酸素供給作用
冠血流量を増加し(イヌ17))、冠動脈の副血行路系の発達を促進し(ミニチュアピッグ18))、十分な酸素を虚血心筋へ供給する。
6.
作用機序
(1)
抗血小板作用
健康成人において血管壁からのプロスタサイクリン(PGI2)の放出促進、作用増強及び血小板のトロンボキサンA2(TXA2)の合成抑制により、PGI2とTXA2のバランスを改善する。19)また、血液中アデノシンの赤血球、血管壁への再取り込み抑制作用20,21)により、血液中アデノシン濃度を上昇させ、血小板のアデニールサイクラーゼ活性を増強し、血小板内c-AMPの合成を促進する。22)また、血小板内c-AMPホスホジエステラーゼの活性を抑制し、血小板内のc-AMP濃度を高める(ヒト血小板23))。また、c-GMPホスホジエステラーゼ活性を抑制し、c-GMP濃度を高める。23)これらの作用により、血小板の活性化を抑制する。
(2)
尿蛋白減少作用
抗血小板作用(ウサギ5))、糸球体係蹄壁の陰荷電減少抑制作用(ラット12,13))等により、尿蛋白を減少する。
(3)
冠血管拡張作用
血液中アデノシンの赤血球、血管壁への再取り込みを抑制し、血液中アデノシン濃度を上昇させることにより冠血管を拡張する(健康成人20)、モルモット21))。
7.
臨床薬理
(1)
抗血小板作用
心臓弁置換患者において短縮した血小板生存日数を延長し、24)血小板の放出反応を抑制し、25)また異常に亢進した血小板凝集能・粘着能を抑制する。25)
(2)
腎機能改善作用
ネフローゼ症候群患者において、内因性クレアチニンクリアランス値を増加させる。4)

有効成分に関する理化学的知見

一般名
ジピリダモール(JAN)
Dipyridamole(JAN)
化学名
2,2´,2´´,2´´´-{[4,8-Di(piperidin-1-yl)pyrimido[5,4-d]pyrimidine-2,6-diyl]dinitrilo}tetraethanol
化学構造式
raster
分子式
C24H40N8O4
分子量
504.63
性状
・黄色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味はわずかに苦い。
・クロロホルムに溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)にやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
融点
165〜169℃

包装

ペルサンチン錠25mg:100錠(10錠×10)PTP、1000錠(10錠×100)PTP、500錠 瓶

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
河野恒文ほか:薬理と治療11:4291,1983
2)
河野恒文ほか:薬理と治療15:1531,1987
3)
Beisenherz G et al:Arzneimittelforschung10:307,1960
4)
上田 泰ほか:日腎誌21:1171,1979
5)
小山哲夫ほか:日腎誌24:27,1982
6)
Philp R B et al:Nature218:1072,1968
7)
Alshabkhoun S:Am J Cardiol19:325,1967
8)
Mayer J E et al:Ann Surg178:108,1973
9)
Emmons P R et al:Nature208:255,1965
10)
Didisheim P:Thromb Diathes Haemorrh20:257,1968
11)
Kimura K et al:J Toxicol Sci4:1,1978
12)
Nagase M et al:Renal Physiol7:218,1984
13)
相原吉雄:日腎誌30:895,1988
14)
鈴木良雄ほか:日腎誌23:323,1981
15)
Hockerts Th et al:Arzneimittelforschung9:47,1959
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Lozada B B et al:Cardiologia49:33,1966
17)
Kadatz R:Arzneimittelforschung9:39,1959
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Nakagawa Y et al:Jpn J Pharmacol29:271,1979
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Neri Serneri G G et al:Florence International Meeting on Myocardial Infarction May 8〜12, 1979 Proceedings:Volume I,489
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Bunag R D et al:Circulation Res15:83,1964
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Roos H et al:Molec Pharmacol8:417,1972
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Gresele P et al:Thromb Haemostas50:852,1983
23)
Best L C et al:Thromb Res16:367,1979
24)
Harker L A et al:N Engl J Med283:1302,1970
25)
Rajah S M et al:Br J Clin Pharmacol4:129,1977

文献請求先

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
DIセンター
〒141-6017 東京都品川区大崎2丁目1番1号 ThinkPark Tower
0120-189-779
(受付時間)9:00〜18:00
(土・日・祝日・弊社休業日を除く)

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日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
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