スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入


作成又は改訂年月

**2014年11月改訂(第5版)
2013年4月改訂

日本標準商品分類番号

872259

日本標準商品分類番号等

効能又は効果追加承認年月(最新)
**2014年11月
国際誕生年月
2001年10月

薬効分類名

**長時間作用性吸入気管支拡張剤

承認等

販売名
スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入

販売名コード

2259709G2023

承認・許可番号

承認番号
22200AMX00227000
商標名
Spiriva 2.5μgRespimat 60puffs

薬価基準収載年月

2010年4月

販売開始年月

2010年5月

貯法・使用期限等

貯法
冷凍しないこと。
(【取扱い上の注意】の項参照)
使用期限
外箱、容器に使用期限を表示

規制区分

処方箋医薬品注)
注)注意−医師等の処方箋により使用すること

組成

成分・含量
1噴霧中チオトロピウム 2.5μg(チオトロピウム臭化物水和物として3.124μg)
添加物
ベンザルコニウム塩化物、エデト酸ナトリウム水和物、精製水、塩酸

性状

内容物
カートリッジの内容物は無色澄明の液である。

一般的名称

チオトロピウム臭化物水和物製剤

禁忌

(次の患者には投与しないこと)
1.
**閉塞隅角緑内障の患者
[眼内圧を高め、症状を悪化させるおそれがある。]
2.
前立腺肥大等による排尿障害のある患者
[更に尿を出にくくすることがある。]
3.
アトロピン及びその類縁物質あるいは本剤の成分に対して過敏症の既往歴のある患者

効能・効果/用法・用量

効能・効果

**下記疾患の気道閉塞性障害に基づく諸症状の緩解
慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)、気管支喘息(重症持続型の患者に限る)

効能・効果に関連する使用上の注意

**本剤は慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)及び気管支喘息の維持療法に用いること。本剤は急性症状の軽減を目的とした薬剤ではない。

用法・用量

通常、成人には1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与する。

用法・用量に関連する使用上の注意

**気管支喘息に対しては、吸入ステロイド剤等により症状の改善が得られない場合、あるいは患者の重症度から吸入ステロイド剤等との併用による治療が適切と判断された場合にのみ、本剤と吸入ステロイド剤等を併用して使用すること。

使用上の注意

慎重投与

(次の患者には慎重に投与すること)
1.
心不全、心房細動、期外収縮の患者、又はそれらの既往歴のある患者
[心不全、心房細動、期外収縮が発現することがある。「重大な副作用」の項参照]
2.
腎機能が高度あるいは中等度低下している患者(クレアチニンクリアランス値が50mL/min以下の患者)
[本剤は腎排泄型であり、腎機能低下患者では血中濃度の上昇がみられる。「薬物動態」の項参照]
3.
前立腺肥大のある患者
[排尿障害が発現するおそれがある。]

重要な基本的注意

1.
**本剤は慢性閉塞性肺疾患及び気管支喘息の急性症状の治療を目的としていない。慢性閉塞性肺疾患及び気管支喘息に基づく症状を安定させるためには、本剤を継続して投与する必要がある。ただし、用法・用量どおり正しく使用しても効果が認められない場合には、本剤が適当ではないと考えられるので、漫然と投与を継続せず中止すること。
2.
**急性症状を緩和するためには、短時間作用性吸入β2刺激薬等の他の適切な薬剤を使用するよう患者に注意を与えること。
また、その薬剤の使用量が増加したり、効果が十分でなくなってきた場合には、喘息の管理が十分でないことが考えられるので、可及的速やかに医療機関を受診し治療を受けるよう患者に注意を与えると共に、そのような状態がみられた場合には、生命を脅かす可能性があるので、吸入ステロイド剤等の増量等の抗炎症療法の強化を行うこと。
3.
**気管支喘息治療の基本は、吸入ステロイド剤等の抗炎症剤であり、本剤は抗炎症剤ではないため、患者が本剤の使用により症状改善を感じた場合であっても、医師の指示なく吸入ステロイド剤等を減量又は中止し、本剤を単独で用いることのないよう、患者に注意を与えること。
4.
*本剤の吸入後、即時型過敏症(血管浮腫を含む)が発現することがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5.
吸入薬の場合、薬剤の吸入により気管支痙攣が誘発される可能性があるので、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
6.
*本剤の投与時に、本剤が眼に入らないように患者に注意を与えること。また、結膜の充血及び角膜浮腫に伴う赤色眼とともに眼痛、眼の不快感、霧視、視覚暈輪あるいは虹輪が発現した場合、急性閉塞隅角緑内障の徴候の可能性がある。これらの症状が発現した場合には、可及的速やかに医療機関を受診するように患者に注意を与えること。
7.
腎機能が低下している高齢者に対して本剤を投与する場合には、治療上の有益性と危険性を勘案して慎重に投与し、有害事象の発現に注意すること。[「慎重投与」、「高齢者への投与」、「薬物動態」の項参照]

副作用

副作用等発現状況の概要

**国内第II相臨床試験が慢性閉塞性肺疾患患者157例を対象に実施され、このうち、147例に本剤5μgが投与された。147例中、副作用が報告された症例は4例(2.72%)で、口渇は1例(0.68%)であった。
海外で実施されたプラセボあるいは実薬を対照とした比較試験において849例の慢性閉塞性肺疾患患者に本剤5μgが投与された。主な副作用は、口渇であった。試験の投与期間は異なるが、全体の集計では、口渇の頻度は6.01%(51例)であった(承認時)
III相国際共同試験が中等症持続型喘息患者2,100例(日本人240例を含む)を対象に実施され、本剤5μg投与群517例中38例(7.35%)に副作用が認められ、主な副作用は口渇7例(1.35%)等であった。日本人患者では、本剤5μg投与群62例中6例(9.68%)に副作用が認められ、主な副作用は浮動性めまい、嗄声及び動悸が各2例(3.23%)等であった。
III相国際共同試験が重症持続型喘息患者912例(日本人65例を含む)を対象に実施され、本剤5μg投与群456例中26例(5.70%)に副作用が認められ、主な副作用は喘息7例(1.54%)等であった。日本人患者では、36例中5例(13.89%)に副作用が認められ、主な副作用は口渇2例(5.56%)等であった。
国内長期投与試験が中等症〜重症持続型喘息患者285例を対象に実施され、本剤5μg投与群114例中10例(8.77%)に副作用が認められ、主な副作用は喘息、嗄声及び口渇各2例(1.75%)等であった(承認時)。

重大な副作用

1.
心不全、心房細動、期外収縮
心不全(頻度不明注))、心房細動(頻度不明注))、期外収縮(1%未満)が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「慎重投与」の項参照]
2.
イレウス
イレウス(頻度不明注))が発現することがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
3.
閉塞隅角緑内障(頻度不明)
閉塞隅角緑内障を誘発することがあるので、視力低下、眼痛、頭痛、眼の充血等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
4.
アナフィラキシー(頻度不明)
アナフィラキシー(蕁麻疹、血管浮腫、呼吸困難等)が発現することがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

その他の副作用

頻度不明注)
霧視、眼圧上昇
**皮膚
1%未満
発疹、そう
皮膚
頻度不明注)
脱毛、蕁麻疹
**中枢神経系
1%未満
浮動性めまい
中枢神経系
頻度不明注)
不眠
感覚器
頻度不明注)
味覚倒錯、嗅覚錯誤
**消化器
1%以上
口渇(2.23%)
消化器
頻度不明注)
便秘、消化不良、口内炎、舌炎
代謝
頻度不明注)
高尿酸血症
**循環器
1%未満
動悸
循環器
頻度不明注)
頻脈、上室性頻脈
血液
頻度不明注)
好酸球増多、白血球減少
**呼吸器
1%以上
嗄声(1.11%)
呼吸器
1%未満
咽喉刺激感
呼吸器
頻度不明注)
咳嗽、呼吸困難、喘鳴、鼻出血、咽頭炎
泌尿器
頻度不明注)
血尿、排尿障害、夜間頻尿、クレアチニン上昇、腎機能異常、尿閉
一般的全身障害
頻度不明注)
過敏症(血管浮腫を含む)
以上のような副作用が現れた場合には、症状に応じて適切な処置を行うこと。
注)チオトロピウム粉末吸入剤の投与による事象、または本剤の海外のみでみられた事象を頻度不明とした。

高齢者への投与

一般に高齢者では腎クリアランス等の生理機能が低下しており、血中濃度が上昇するおそれがあるので、副作用の発現に注意すること。また、チオトロピウム粉末吸入剤の臨床試験で口渇は高齢者でより高い発現率が認められている。[「重要な基本的注意」、「薬物動態」の項参照]

妊婦、産婦、授乳婦等への投与

1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で胎児に移行することが認められている。]
2.
授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には、授乳を中止させること。[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。]

小児等への投与

低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない]

過量投与

本剤を高用量投与した場合、抗コリン作動性の徴候及び症状が発現する可能性がある。健康成人(海外)に本剤10、20及び40μgを1日1回、14日間吸入投与したとき、用量依存的に口内、咽喉及び鼻粘膜の乾燥がみられ、40μg群で7日目以降に唾液分泌の顕著な減少がみられた。
本剤の経口投与後の生物学的利用率は低いので、経口摂取による急性中毒の発現の可能性は低いと考えられる。

適用上の注意

本剤を処方する医師は以下の内容について正しく理解した上で、本剤を患者に交付する際には、正しい使用方法を必ず交付前に説明すること。[「その他の説明(付属機器の取り扱い等)」の項参照]

その他の注意

本剤と短時間作用型抗コリン性気管支拡張剤(イプラトロピウム臭化物水和物、オキシトロピウム臭化物等)との併用に関しては、臨床試験成績はなく、併用による有効性及び安全性は確立していないことから、併用は推奨できない。

薬物動態

1.
**吸収
健康成人(海外)に本剤を吸入投与したとき、投与量の33%が全身循環血中に吸収されることが尿中排泄データから示された。1,2)チオトロピウムは4級アンモニウム化合物のため経口投与後に消化管からはほとんど吸収されず、溶液で経口投与されたチオトロピウムのバイオアベイラビリティは2-3%であった。2)チオトロピウム臭化物は本剤を吸入投与後5分で最高血漿中濃度に到達した。1)
定常状態における、日本人慢性閉塞性肺疾患患者の本剤5μg吸入投与10分後の血漿中濃度は17.1pg/mLであり、トラフ濃度は2.00pg/mLであった。3)また、AUCτ,ssは94.3pg・h/mL、AUC0-4,ssは30.4pg・h/mL、投与後4時間までの尿中排泄量は0.342μg、尿中未変化体排泄率は6.84%であった。3)なお、AUCおよび尿中排泄量のチオトロピウム粉末吸入剤18μg投与時に対する本剤5μg投与時の比の90%信頼区間は生物学的同等性の基準の80-125%の範囲内であった。3)
定常状態において、喘息患者(海外)に本剤5μgを吸入投与したとき、チオトロピウムは吸入投与5分後に最高血漿中濃度5.15pg/mLに到達した。4)
2.
分布
血漿蛋白との結合率(in vitro試験)は72%で5)、分布容積は32L/kgであった(海外)。2)
<参考>14C-チオトロピウム10mg/kgを気管内投与した場合、肺、消化管のほかに肝臓、腎臓、膵臓に高い放射能濃度が認められたが、脳には移行しなかった(ラット)。6,7)また、乳汁中に移行した(ラット)。8)
3.
代謝
健康成人(海外)にチオトロピウム14.4μgを静脈内投与注)したとき、尿中未変化体排泄率は投与量の74%であり、チオトロピウムの代謝はわずかであった。2)エステル化合物であるチオトロピウム臭化物は、非酵素的にエステル結合が加水分解され、N-メチルスコピン及びジチニールグリコール酸の生成がみられた。9)これらの代謝物はムスカリン受容体に親和性を示さなかった。10)また、ヒト肝ミクロソーム及びヒト肝細胞を用いた試験でチトクロームP-450によって酸化された代謝物及びそのグルタチオン抱合体がわずかにみられた。11,12)
この代謝はCYP2D6及び3A4の阻害薬により抑制されたことから、チオトロピウムの消失のごく一部にCYP2D6及び3A4が関与していると考えられた。11)チオトロピウムは治療濃度以上であっても、CYP1A1、1A2、2B6、2C9、2C19、2D6、2E1及び3Aのいずれの活性に対しても影響を与えなかった。13)
4.
**排泄
健康成人及び慢性閉塞性肺疾患患者(海外)に粉末吸入剤吸入投与後の終末相における尿中未変化体排泄速度から算出した消失半減期は5〜6日であった。2,14)健康成人にチオトロピウムを静脈内投与したとき、全身クリアランスは880mL/minで2)、尿中未変化体排泄率は74%であった。2)本剤吸入投与後の尿中排泄率は20.1-29.4%であった。1)
喘息患者(海外)での累積係数から算出した半減期は34時間であった。4)また、本剤5μg投与後の定常状態時の投与24時間までの尿中未変化体排泄率は11.9%であった。4)
腎クリアランス値がクレアチニンクリアランス値より大きいことから2,14)、チオトロピウム臭化物の尿中への分泌が示唆された。慢性閉塞性肺疾患患者及び喘息患者(海外)に1日1回本剤を連続投与すると、7日目に定常状態に達し、蓄積はみられなかった。4,15)
5.
**高齢者における薬物動態
高齢者(海外)に粉末吸入剤を吸入投与したとき、チオトロピウムの腎クリアランスは低下した(腎クリアランスは58歳以下の慢性閉塞性肺疾患患者で326mL/min、69歳以上の慢性閉塞性肺疾患患者で163mL/min)が、これは加齢に伴う腎機能の低下によるものと考えられた。14)
若年健康成人(平均年齢32.1歳、海外)にチオトロピウム粉末吸入剤を吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は14%であった2)が、慢性閉塞性肺疾患患者(平均年齢63.8歳、海外)にチオトロピウム粉末吸入剤を吸入投与したときの尿中未変化体排泄率は7%であり16)、若年健康成人に比較して低い値であった。
一方、高齢者(海外)にチオトロピウム粉末吸入剤を1日1回反復吸入投与後のAUC0-4hは非高齢者(海外)に比較して43%高い値を示した。非高齢者及び高齢者における薬物動態パラメータは以下のとおりであり、個体間変動を考慮すると、血漿中未変化体濃度に加齢による大きな差はないと考えられた。14)
チオトロピウム粉末吸入剤の反復吸入投与後の薬物動態パラメータ14)
非高齢者(45〜58歳)
例数:12
投与後5分の血漿中未変化体濃度(pg/mL):9.63(2.50〜47.5)
AUC0-4h(pg・hr/mL):18.2(10.0〜61.7)
投与後4時間までの尿中未変化体排泄率(% of dose):1.97(0.45〜5.67)
腎クリアランス(mL/min):326(117〜724)
高齢者(69〜80歳)
例数:13
投与後5分の血漿中未変化体濃度(pg/mL):15.3(5.60〜34.8)
AUC0-4h(pg・hr/mL):26.1(10.5〜56.0)
投与後4時間までの尿中未変化体排泄率(% of dose):1.42(0.215〜4.51)
腎クリアランス(mL/min):163(20.5〜477)
幾何平均値
表中括弧内の数値は範囲を示す。
喘息患者(海外)では、本剤吸入投与後のチオトロピウムの曝露量に年齢による差は認められなかった。4)
6.
**腎機能低下患者における薬物動態
他の腎排泄型の薬剤と同様、腎機能低下患者(海外)においては、チオトロピウムの静脈内投与17)及び粉末吸入剤吸入投与16)後の血漿中未変化体濃度は上昇し、腎クリアランスは低下した。軽度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50〜80mL/minの患者、海外)において、チオトロピウム4.8μgを静脈内投与後のAUC0-4hは健康成人(海外)に比較して39%高い値を示した。17)また、高度あるいは中等度の腎機能低下患者(クレアチニンクリアランスが50mL/min未満の患者、海外)においては血漿中未変化体濃度は約2倍高い値を示した(AUC0-4hは82%高かった)。17)健康成人及び腎機能低下患者における薬物動態パラメータは以下のとおりであった。17)
チオトロピウム単回静脈内投与後の薬物動態パラメータ17)
健康成人
例数:6
クレアチニンクリアランス(mL/min):>80
Cmax(pg/mL):147(103〜186)
AUC0-4h(pg・hr/mL):55.5(43.2〜69.4)
総尿中未変化体排泄率(% of dose):60.1(44.8〜76.5)
腎クリアランス(mL/min):435(348〜497)
腎機能低下患者
例数:5
クレアチニンクリアランス(mL/min):50〜80
Cmax(pg/mL):200(129〜287)
AUC0-4h(pg・hr/mL):77.1(60.9〜105)
総尿中未変化体排泄率(% of dose):59.3(49.7〜74.0)
腎クリアランス(mL/min):246(150〜341)
腎機能低下患者
例数:7
クレアチニンクリアランス(mL/min):30〜50
Cmax(pg/mL):223(162〜314)
AUC0-4h(pg・hr/mL):101(69.4〜156)
総尿中未変化体排泄率(% of dose):39.9(25.9〜65.3)
腎クリアランス(mL/min):124(98.3〜171)
腎機能低下患者
例数:6
クレアチニンクリアランス(mL/min):<30
Cmax(pg/mL):223(176〜269)
AUC0-4h(pg・hr/mL):108(76.3〜145)
総尿中未変化体排泄率(% of dose):37.4(34.2〜41.7)
腎クリアランス(mL/min):85.7(68.4〜128)
幾何平均値
表中括弧内の数値は範囲を示す。
腎機能が軽度低下している喘息患者(クレアチニンクリアランスが50〜80mL/minの患者、海外)においては、腎機能が正常な喘息患者と比較して、チオトロピウムの曝露量の増加は認められなかった。4)
注)本剤の承認された用法・用量は、1回2吸入(チオトロピウムとして5μg)を1日1回吸入投与である。

臨床成績

**慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)
(1)
国内臨床試験成績
慢性閉塞性肺疾患患者147例を対象に本剤5μgとチオトロピウム粉末吸入剤18μgとの二重盲検クロスオーバー試験を国内で実施した。その結果、本剤5μgのチオトロピウム粉末吸入剤18μgに対する非劣性が検証された(p<0.001)。18)
本剤(Tio R)とチオトロピウム粉末吸入剤(Tio HH)のトラフFEV1(変化量)に対する成績
Tio R 5
症例数:134
平均値(SE):0.109(0.006)
95%CI:0.097-0.120
Tio HH 18
症例数:134
平均値(SE):0.101(0.006)
95%CI:0.089-0.113
Tio R 5-Tio HH 18
症例数:134
平均値(SE):0.008(0.009)
95%CI:-0.009-0.024
P値(非劣性):<0.001
注)第1期と第2期のFEV1のベースライン値と投与後の値があるものを有効性の主解析集団とした。
チオトロピウム粉末吸入剤の国内臨床試験成績
慢性閉塞性肺疾患患者27例を対象とした国内第II相試験19)及び慢性閉塞性肺疾患患者362例(粉末吸入剤18μg投与177例)を対象とした国内第III相二重盲検比較試験20)、長期投与試験21)の結果、粉末吸入剤の有用性が認められた。粉末吸入剤の1日1回18μg吸入投与における臨床試験成績の概要は次のとおりであった。
1)
肺機能検査値に対する成績
粉末吸入剤は投与後速やかに肺機能検査値(FEV1)を上昇させ、その効果は投与後24時間持続した。19)また、オキシトロピウム臭化物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に上昇させた。20,21)
チオトロピウム粉末吸入剤(Tio HH)のトラフFEV1に対する成績
III相二重盲検比較試験(4週投与)
薬剤:Tio HH
症例数:63
FEV1投与前値(L):0.99±0.04
トラフFEV1変化量(L):0.12±0.02
P値(分散分析):P=0.0001
III相二重盲検比較試験(4週投与)
薬剤:オキシトロピウム
症例数:67
FEV1投与前値(L):0.97±0.05
トラフFEV1変化量(L):0.02±0.02
P値(分散分析):P=0.0001
III相長期投与試験(1年投与)
薬剤:Tio HH
症例数:100
FEV1投与前値(L):0.96±0.04
トラフFEV1変化量(L):0.09±0.02
P値(分散分析):P=0.0005
III相長期投与試験(1年投与)
薬剤:オキシトロピウム
症例数:46
FEV1投与前値(L):0.94±0.05
トラフFEV1変化量(L):-0.02±0.03
P値(分散分析):P=0.0005
平均値±SE
2)
呼吸困難に対する成績
粉末吸入剤はオキシトロピウム臭化物に比し、呼吸困難(息切れの程度を点数化して評価)を有意に改善した。20,21)
3)
急性増悪に対する成績
粉末吸入剤投与時の急性増悪の回数及び急性増悪の日数はオキシトロピウム臭化物に比し、有意に少なかった。21)また、オキシトロピウム臭化物に比し、急性増悪が発現するまでの期間を有意に遅延させた。21)
4)
生活の質(QOL)に関する成績
St.George’s Respiratory QuestionnaireによるQOLに関する調査において、粉末吸入剤はオキシトロピウム臭化物に比し、QOLを有意に改善した。21)
(2)
海外臨床試験成績
慢性閉塞性肺疾患患者2,697例(本剤1日1回5μg吸入投与849例)を対象とした1年投与による二重盲検比較試験2試験22,23)及び12週投与による二重盲検比較試験2試験24,25)により、肺機能検査値を検討した。また、1年投与の2試験では呼吸困難、急性増悪及び生活の質(QOL)についても検討した。22,23,26)
1)
肺機能検査値に対する成績
本剤はプラセボ及びイプラトロピウム臭化物水和物に比し、肺機能検査値(トラフFEV1)を有意に改善した。26,27)
本剤(Tio R)のトラフFEV1に対する成績
プラセボ対照二重盲検比較試験(1年投与)
薬剤:Tio R
症例数:650
FEV1投与前値(L):1.068±0.016
トラフFEV1変化量(L):0.087±0.009
P値(分散分析):P=0.0001
プラセボ対照二重盲検比較試験(1年投与)
薬剤:プラセボ
症例数:603
FEV1投与前値(L):1.067±0.016
トラフFEV1変化量(L):-0.040±0.009
P値(分散分析):P=0.0001
イプラトロピウム対照二重盲検比較試験(12週投与)
薬剤:プラセボ
症例数:171
FEV1投与前値(L):1.188±0.032
トラフFEV1変化量(L):-0.014±0.017
P値(分散分析):P=0.0001
イプラトロピウム対照二重盲検比較試験(12週投与)
薬剤:Tio R
症例数:175
FEV1投与前値(L):1.068±0.030
トラフFEV1変化量(L):0.104±0.016
P値(分散分析):P=0.0001
イプラトロピウム対照二重盲検比較試験(12週投与)
薬剤:Tio R
症例数:175
FEV1投与前値(L):1.068±0.030
トラフFEV1変化量(L):0.104±0.016
P値(分散分析):P=0.0060
イプラトロピウム対照二重盲検比較試験(12週投与)
薬剤:イプラトロピウム
症例数:170
FEV1投与前値(L):1.101±0.033
トラフFEV1変化量(L):0.040±0.017
P値(分散分析):P=0.0060
平均値±SE
2)
呼吸困難に対する成績(1年投与試験)22,23,26)
本剤はプラセボに比し、呼吸困難(Transition Dyspnoea Indexを用いて評価)を有意に改善した。
3)
急性増悪に対する成績(1年投与試験)22,23,26)
本剤はプラセボに比し、急性増悪の回数を有意に減少し、最初の急性増悪が発現するまでの期間も有意に遅延させた。
4)
生活の質(QOL)に関する成績(1年投与試験)22,23,26)
St.George’s Respiratory QuestionnaireによるQOLに関する調査において、本剤はプラセボに比し、QOLを有意に改善した。
**気管支喘息
(1)
日本人を含む国際共同試験成績
高用量のICS+LABAの治療下でも症状が持続する重症持続型喘息患者912例(日本人65例)を対象とした国際共同二重盲検比較試験2試験(205.416試験及び205.417試験、本剤5μgまたはプラセボを1日1回、48週吸入投与)において、456例(日本人36例)に本剤5μgを投与した。臨床試験成績の概要は次のとおりであった。
1)
肺機能検査値に対する成績28,29)
本剤5μgはプラセボに比し、投与24週後の肺機能検査値(ピークFEV1及びトラフFEV1)を統計学的に有意に改善した。日本人集団の成績は全体集団と比較して同様の傾向がみられた。
本剤5μg(Tio R 5)のピークFEV1(変化量)及びトラフFEV1(変化量)に対する成績(全体集団)
205.416試験:ピークFEV1
薬剤:Tio R 5
ベースライン:1.596±0.546(237)
投与24週後:2.048±0.663(217)
変化量:0.444±0.426(217)
プラセボ群との差[95%信頼区間]a)、p値a) b):0.086[0.020,0.152] p=0.0110
205.416試験:ピークFEV1
薬剤:プラセボ
ベースライン:1.558±0.537(222)
投与24週後:1.899±0.670(211)
変化量:0.351±0.372(211)
205.416試験:トラフFEV1
薬剤:Tio R 5
ベースライン:1.596±0.546(237)
投与24週後:1.793±0.599(217)
変化量:0.189±0.366(217)
プラセボ群との差[95%信頼区間]a)、p値a) b):0.088[0.027,0.149] p=0.0050
205.416試験:トラフFEV1
薬剤:プラセボ
ベースライン:1.558±0.537(222)
投与24週後:1.656±0.613(211)
変化量:0.107±0.333(211)
205.417試験:ピークFEV1
薬剤:Tio R 5
ベースライン:1.659±0.569(219)
投与24週後:2.043±0.681(205)
変化量:0.388±0.388(205)
プラセボ群との差[95%信頼区間]a)、p値a) b):0.154[0.091,0.217] p<0.0001
205.417試験:ピークFEV1
薬剤:プラセボ
ベースライン:1.598±0.506(234)
投与24週後:1.831±0.615(218)
変化量:0.248±0.363(218)
205.417試験:トラフFEV1
薬剤:Tio R 5
ベースライン:1.659±0.569(219)
投与24週後:1.802±0.624(204)
変化量:0.143±0.355(204)
プラセボ群との差[95%信頼区間]a)、p値a) b):0.111[0.053,0.169] p=0.0002
205.417試験:トラフFEV1
薬剤:プラセボ
ベースライン:1.598±0.506(234)
投与24週後:1.631±0.544(218)
変化量:0.048±0.308(218)
平均値±SD(例数)
a)投与群、実施医療機関、Visit、投与群とVisitの交互作用、ベースライン値、ベースライン値とVisitの交互作用を固定効果、被験者を変量効果とし、被験者内でspatial power共分散構造を仮定した反復測定混合モデル。
b)投与24週後のピークFEV1におけるTio R 5群とプラセボ群、投与24週後のトラフFEV1におけるTio R 5群とプラセボ群、48週間の投与期間中の最初の重度の喘息増悪までの期間におけるTio R 5群とプラセボ群との各対比較の順に階層が設定されたステップダウン法により、検定の多重性を調整。
2)
喘息増悪に対する成績30)
205.416試験及び205.417試験の併合データにおいて、本剤5μgはプラセボに比し、重度の喘息増悪の発現リスクを統計学的に有意に減少させた。
raster
最初の重度の喘息増悪までの期間のKaplan-Meier曲線(全体集団)
本剤5μg(Tio R 5)の喘息増悪に対する成績
増悪割合
Tio R 5:26.9(122/453)
プラセボ:32.8(149/454)
未調整ハザード比[95%信頼区間]a)未調整p値a)
Tio R 5:0.79[0.62,1.00] p=0.0535
調整済みハザード比[95%信頼区間]b)調整済みp値c)
Tio R 5:0.77[0.60,0.98] p=0.0343
%(例数)
a)投与群を説明変数としたCox比例ハザードモデル
b)平均不偏推定量
c)Cui, Hung and Wang(1999)の重み付きZ統計量に基づく方法(主要解析)。投与24週後のピークFEV1におけるTio R 5群とプラセボ群、投与24週後のトラフFEV1におけるTio R 5群とプラセボ群、48週間の投与期間中の最初の重度の喘息増悪までの期間におけるTio R 5群とプラセボ群との各対比較の順に階層が設定されたステップダウン法により、検定の多重性を調整。
(2)
国内長期投与試験成績
中用量のICSの治療下でも症状が持続する喘息患者285例を対象とした52週吸入投与による国内長期投与試験において、114例に本剤1日1回5μgが投与された。その結果、本剤5μgのトラフFEV1の効果は52週間維持された。31)

薬効薬理

1.
気管支収縮抑制作用
摘出標本(モルモット32)、ヒト32))において、メサコリンあるいはフィールド電気刺激による収縮反応に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な気管支収縮抑制作用を示す。また、生体位(モルモット33)、ウサギ34)、イヌ34))においても、アセチルコリンにより誘発した気管支収縮に対して抗コリン作用によると考えられる用量依存的な収縮抑制作用を示す。
2.
作用持続時間
摘出標本(モルモット32,35))におけるフィールド電気刺激による収縮に対する抑制作用及び生体位(モルモット33,35))におけるアセチルコリンによる気管収縮に対する抑制作用はイプラトロピウム臭化物水和物及びオキシトロピウム臭化物よりも持続的である。また、摘出標本(ヒト32))及び生体位(イヌ34))においても、気管支収縮抑制作用は持続的である。
3.
作用機序
チオトロピウムは長時間持続型の選択的ムスカリン受容体拮抗薬であり、ムスカリン受容体のサブタイプであるM1〜M5受容体にほぼ同程度の親和性を示す。10)気道においては、気道平滑筋のM3受容体に対するアセチルコリンの結合を阻害して気管支収縮抑制作用を発現する。非臨床試験(摘出標本及び生体位)において示された気管支収縮抑制作用は用量依存的であり、この作用は24時間以上持続する。34,35)
この長時間持続する作用は本剤の受容体を用いた結合実験において得られた結果(M3受容体からの解離がきわめて遅いこと)に基づくと考えられ、この解離はイプラトロピウム臭化物水和物よりもさらに遅い。36)摘出標本を用いた検討により、気管支収縮に対する抑制作用(M3受容体拮抗作用)はアセチルコリン遊離増強作用(M2受容体拮抗作用)に比べ持続することが明らかとなっている。このことから、M3受容体からの解離はM2受容体からの解離に比べて遅いと考えられ32)、レセプターの解離速度の面からはM3受容体に対する選択性が高いと考えられる。

有効成分に関する理化学的知見

一般名
チオトロピウム臭化物水和物(JAN)
Tiotropium Bromide Hydrate(JAN)
Tiotropium Bromide(INN)
化学名
(1α,2β,4β,5α,7β)-7-[(Hydroxydi-2-thienylacetyl)oxy]-9,9-dimethyl-3-oxa-9-azoniatricyclo[3.3.1.02,4]nonane bromide monohydrate
化学構造式
raster
分子式
C19H22BrNO4S2・H2O
分子量
490.43
性状
白色〜帯黄白色の粉末である。
本品は水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。

取扱い上の注意

1.
患者には専用の吸入用器具レスピマット及び使用説明書を渡し、使用方法を指導すること。
2.
本剤は冷凍しないこと。
3.
地方自治体により定められた廃棄処理方法にしたがうこと。

承認条件

**医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

包装

スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入:吸入用器具レスピマット1個及びカートリッジ1本(1ml:60噴霧[30回投与分])

主要文献及び文献請求先

主要文献

1)
Feifel U et al:社内資料 健康成人での反復投与薬物動態試験
2)
Feifel U et al:社内資料 健康成人でのバイオアベイラビリティ試験
3)
Fukuchi Y et al:社内資料 国内クロスオーバー試験の薬物動態
4)
**Sharma A:社内資料 薬物動態試験併合解析
5)
Sauer A:社内資料 薬物動態試験(分布:血漿蛋白結合)
6)
Richter I:社内資料 非臨床薬物動態試験(分布:全身オートラジオグラフィ)
7)
Oiwa Y et al:社内資料 非臨床薬物動態試験(分布:組織内分布)
8)
Oiwa Y et al:社内資料 非臨床薬物動態試験(排泄:乳汁中移行)
9)
Ludwig E et al:社内資料 非臨床薬物動態試験(代謝:血漿中加水分解)
10)
Speck GA et al:社内資料 薬効薬理試験(ヒト ムスカリン受容体への親和性)
11)
Ludwig-Schwellinger et al:社内資料 薬物動態試験(代謝:肝ミクロソーム)
12)
Ludwig-Schwellinger et al:社内資料 薬物動態試験(代謝:肝細胞)
13)
Ebner T et al:社内資料 薬物動態試験(代謝:チトクロームP450阻害)
14)
Hamilton A et al:社内資料 高齢者における薬物動態試験
15)
Puyal C et al:社内資料 用量反応試験
16)
Serby CW et al:社内資料 海外1年間投与二重盲検比較試験(205.117試験)
17)
Tuerck D et al:J Clin Pharmacol44:163,2004
18)
Ichinose M et al:Respir Med104:228,2010
19)
平田一人ほか:臨床医薬20(9),25,2004
20)
福地義之助ほか:臨床医薬20(9),41,2004
21)
福地義之助ほか:臨床医薬20(9),61,2004
22)
Towse LJ et al:社内資料 海外1年間投与二重盲検比較試験(205.254試験)
23)
Towse LJ et al:社内資料 海外1年間投与二重盲検比較試験(205.255試験)
24)
Van Andel A E et al:社内資料 海外12週間投与二重盲検比較試験(205.251試験)
25)
Van Andel A E et al:社内資料 海外12週間投与二重盲検比較試験(205.252試験)
26)
Towse LJ et al:社内資料 海外1年間投与二重盲検比較試験の併合データ
27)
Voshaar T et al:Respir Med102(1):32,2008
28)
**Seibold W et al:社内資料 48週間投与国際共同二重盲検比較試験(205.416試験)
29)
**Seibold W et al:社内資料 48週間投与国際共同二重盲検比較試験(205.417試験)
30)
**Seibold W et al:社内資料 48週間投与国際共同二重盲検比較試験(205.416/205.417試験)
31)
**國光聡子ほか:社内資料 国内長期投与試験(205.464試験)
32)
Takahashi T et al: Am J Respir Crit Care Med150(6),1640,1994
33)
Reichl R et al:社内資料 薬効薬理試験(抗コリン作用(モルモット))
34)
Reichl R et al:社内資料 薬効薬理試験(抗コリン作用(ウサギ、イヌ)など)
35)
大村剛史ほか: 医学と薬学51(5):711,2004
36)
Speck G A et al:社内資料 薬効薬理試験(ヒト ムスカリン受容体サブタイプからの解離)

文献請求先

主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい。
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
DIセンター
〒141-6017 東京都品川区大崎2丁目1番1号 ThinkPark Tower
フリーダイヤル 0120-189-779
<受付時間>9:00〜18:00(土・日・祝日・弊社休業日を除く)

製造販売業者等の氏名又は名称及び住所

製造販売元(輸入発売元)
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
東京都品川区大崎2丁目1番1号

その他の説明(付属機器の取り扱い等)

吸入用器具レスピマットの各部の名称
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カートリッジの挿入方法
吸入用器具レスピマットを使用する時は、以下の1)〜7)を行う。
1)緑のキャップを閉じた状態で、安全止めを押しながら、透明ケースをはずす。
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2)カートリッジ上部の緑色の部分を吸入用器具に挿入する。
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3)カートリッジを固い平面の上でしっかり押し込んで、カチッと音がするまで確実に挿入する。

カートリッジと吸入用器具は同一の高さにはならない。カートリッジを挿入した後も、横から見た時に、カートリッジの底の銀色の部分は見える状態である。

一度挿入したカートリッジは抜かないこと。
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4) 1)ではずした透明ケースを装着する。

一度装着した透明ケースは取り外さないこと。
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「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」を初めて吸入する前に必要な準備
5)緑のキャップを閉じた状態で上向きにして持ち、透明ケースを矢印の方向にカチッと音がするまで回転させる。
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6)緑のキャップを完全に開ける。
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7)下に向け、噴霧ボタンを押す。

ミスト(霧)が見えるまで5)〜7)を繰り返す。ミスト(霧)が見えてから5)〜7)の操作をさらに3回繰り返し、噴霧が確実に行われることを確認する。
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これで「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」は吸入可能になる。

これらの準備段階における噴霧は、「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の利用可能な回数には含まれない。使用前の準備完了後、30回分の吸入投与(計60噴霧)が可能である。
「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の吸入方法

1.
吸入用器具レスピマットの緑のキャップを上向きにして持ち、透明ケースを矢印の方向にカチッと音がするまで回転させる。この際、誤って噴霧ボタンを押さないように、緑のキャップは閉じた状態にしておく。
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2.
緑のキャップを完全に開き、息をゆっくり、最後まで吐き出す。マウスピースをしっかりと口にくわえる(この際、通気孔をふさがないようにすること)。「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」を、咽喉部へ真直ぐ向ける。
吸入時に本剤が眼に入らないように注意すること。

息を口からゆっくりと深く吸いながら、噴霧ボタンを押し、できるだけゆっくり肺いっぱいに息を吸い込み、10秒を目安に苦しくならない程度の間息を止める。
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3.
1回分の薬剤を吸入するため、1.と2.を繰り返す。

吸入は1日1回(2吸入)行う。

次に吸入用器具レスピマットを使用するまでの間、緑のキャップは閉じておく。
吸入用器具レスピマットを7日間以上使用しなかった場合は、下に向けて1回噴霧した後に使用すること。

また、21日間以上使用しなかった場合は、ミスト(霧)が見えるまで5)〜7)の吸入前に必要な準備操作を行った後、さらにミスト(霧)が見えてから5)〜7)の操作を3回繰り返した後に使用すること。
「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の終了時期
「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」は30回分の吸入投与(計60噴霧)が可能である。目盛りはおおよその残りの回数を示す。
目盛りの針が赤い領域に入ったら、残りは約7回分(14回噴霧)であり、新しい「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の処方が必要である。

目盛りの針が赤い領域の端になると「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」は自動的にロックがかかって、透明ケースを回転させることができなくなる。

また、「スピリーバ2.5μgレスピマット60吸入」の使用開始から3カ月以上経過した場合は、薬剤が残っていたとしても使用しないこと。
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吸入用器具レスピマットの手入れ
少なくとも週1回はマウスピースとその内側の金属部分を湿らせた布またはティッシュペーパーで拭く。

マウスピースの内側の金属部分は変色することがあるが、吸入用器具レスピマットの性能には影響はない。

また、必要に応じ、吸入用器具レスピマットの外側を湿った布で拭く。